俺は、お前がいいんだよ。
「雰囲気…変わったんですね。」
あの日、私が初めて見た瀬ノ内君は……
「あー、そうだな。あの頃は…厚い黒縁メガネで、髪も肩ぐらいまで伸ばしてボサボサな感じだったし、前髪も目にかかるぐらい長かったから。」
今と、全然違ってた。
同一人物?って思ってしまうほど。
「変わった…っていうより、変えた。俺、ずっと身だしなみとかも興味なくてさ。適当な感じだったんだけど、あの日から…変えようと思った。このままじゃダメだと思って。」
「そ、そうなんですか…。」
「……伊織のおかげ。」
「えっ?」
「俺を変えたのは、伊織だから。」
瀬ノ内君は優しく笑った。
「昨日、自販機の前で伊織と会った時は驚いた。もしかしたら、あの時の女の子じゃねぇか…って思ったら、心臓がざわついたんだ。」
「どうして、あの時の女の子が私かも…って思ったんですか?私、今より髪が長くて…顔も幼い感じだったんですが…。」
瀬ノ内君ほどじゃないけど、私だって見た目の印象は違って見えたはずなのに…。