俺は、お前がいいんだよ。
えっ……。
思わぬ言葉に顔を上げると、お互いの視線が絡まった。
「で、でもっ……」
声が震え、涙が頬をつたう。
陽希は私の目元に、そっとキスを落とした。
「“好きなのに、不安になる”んじゃなくて、“好きだから、不安になる”んだよ。俺だって、そういう時があるし…。」
「は、陽希も…?」
「ああ。由依は可愛くて優しい女だから、他の男に突然奪われたりしないか…とかさ。俺の色んな面を知って欲しい反面で、嫌われたり、愛想尽かされるんじゃないかって、怖くなったりすることだってある…。」
そんな風に思ってたんだ…。
知らなかった…。
「だけど、それって…不安になるぐらい相手のことが好き…ってことだろ?そもそも、好きじゃなければ、不安なんて感じないんだから。そういうのは、“信じてない”って言わねぇんだよ。」
「そ、そうなの…?」
「ああ。」
そっか……。
モヤモヤしていた心の中の霧がスーッと晴れていくのを感じた。