俺は、お前がいいんだよ。
「確かに髪は長かったし、後ろで一つにまとめて縛ってたから、今と雰囲気違ってた。でも顔立ちは…あまり変わってねぇよ…。」
「そ、そうですか…。」
要するに、童顔なものは童顔ってことか…。
「もちろん…それだけじゃない。ほぼ確信を持ったのは、素っ気ない受け答えと…俺の前から猛スピードで走り去ってくところ。あの時と、重なるものがあったから。」
「あ……」
そっか、納得。
あまりいないもんね、そういう人…。
思わず苦笑いしていた時、瀬ノ内君は私の手を取って、折りたたみ傘とハンカチを持たせた。
「俺、あの日から…会いたいと思ってたから、こうやって再会することができて嬉しい。ようやく、会えた…。」
「…………。」
どうして、そんな…嬉しさに溢れた顔してるのよ…。
ただ、私は…傘とハンカチを差し出しただけなのに……。
疑問と戸惑いを感じていると、瀬ノ内君は私の顔を覗き込んだ。