俺は、お前がいいんだよ。
「ちょっと、陽希!いきなり何してるの…!?」
「あの女を、由依が気に掛けてるから。」
「だ、だって…栗山さん、今にも泣きそうな雰囲気だったし…。さっきのは、いくら何でも言い過ぎじゃないかな…。」
基本的に、あまり知らない女子に馴れ馴れしく話し掛けられるのが嫌な陽希だから、名前を呼ばれたことにイラついたのは分かるけど…
何も、私に謝ろうとしてくれたことを、“白々しい”なんて言わなくてもいいと思うんだよね…。
「俺の言葉で、本当に…涙するほど堪えてるんだったらいいけどな…。」
「な、何言って…」
あまりにも冷たすぎる発言に戸惑っていると、陽希は眉をしかめた。
「あの女、笑ってたんだ。」
「えっ…?」
「遊園地で、あの男子たちが俺に向かって由依を傷つけるようなこと言ってた時、あの女をチラッと見たら、アイツ…由依を見ながら薄笑いしてた…。」
「う、うそ…。何かの間違いじゃなくて…?」
「もちろん。あの状況で、あんな気味悪い表情されたら印象に残るからな。」
陽希はクシャクシャと頭を掻いた。