俺は、お前がいいんだよ。
惑わせる天使
「あのさ、由依…。」
「ん?」
栗山さんに遭遇した日から数日が経過した、ある日の放課後。
教室で帰り支度をしていた私のところに陽希がやってきた。
「明日の予定だったキャンプの運営委員のミーティング、先生たちの都合で、急遽…今日やることになったらしいんだ。」
「そ、そうなの?いきなり変更だなんて、大変だね…。」
「まあ、今回は俺らの高校でのミーティングだし、移動しなくていいから楽だけどさ。」
「そっか…、頑張ってね…。」
一人で帰るの、久しぶりだな…。
仕方ないとは分かっていても、やはり寂しさを感じてしまう自分がいた。
「由依、もしも…帰り道にアイツと鉢合わせたら、無視して逃げればいいからな?」
「そ、そこまでしなくてもいい気が…。っていうか、あれから栗山さんとも遭遇してないし、何も起こってないから大丈夫だよ…。」
笑顔で答えたものの、陽希は何だか心配そうな表情だ。