俺は、お前がいいんだよ。
答えは明日とか言われても、お礼なんていらないのに…。
私は、返ってきた折りたたみ傘とハンカチを見つめた。
でも、瀬ノ内君…凄くお礼をしたそうな感じだったし、素直に受け止めた方がいいのかな…。
お礼…してもらった方がいいのかな…?
「………。」
いやいや、やっぱり…断ろう。
色々と気を遣わせちゃうのも悪いし、本当に大したことしてないもんね…。
そう決めた私は、夕日に照らされた屋上を後にした。
それにしても、あの時の男の子に再び会うなんて、思ってもみなかったな…。
折りたたみ傘もハンカチも、返ってくるとは思ってなかったから…。
こんなことって、あるんだな…。
帰り道。
あの日のことを頭に浮かべながら、私は…ただただ驚いていた。