俺は、お前がいいんだよ。

「由依、顔…真っ赤!」


「は、恥ずかしいから…あまり見ないで!それより、恵理子…急用が出来たんじゃなかったの?早く帰らないと…!」


「あっ、そうだった。んじゃ、またね!」


私に手を振った後、走って行く恵理子の後ろ姿を見つめた。


今日…恵理子に打ち明けた気持ち、本当は…陽希にも話すべきだよね…。


心に抱えてることは、素直に言うのが大事。


分かってる…。


でも、栗山さんのことに関しては…ただでさえ陽希に凄く気遣ってもらってるのに、これ以上…心配させたくない。


逆に、私は大丈夫だよ…って、少しでも安心させたいぐらいだもん…。


それに、陽希の前で栗山さんの話…あまりしたくない。


だから、このまま…陽希には言わないでおこう。


カフェを離れて、蒼井坂駅の前を通り過ぎようとした私。


駅の中から次々と出て来る人たちの中で、ある二人の男女が目に留まった。


えっ…。


あの女の子、栗山さんだ…。


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