俺は、お前がいいんだよ。
隣の男の子、誰だろう…?
腕を絡めて楽しそうに話しながら歩く二人は、まるで恋人同士のよう。
足を止めて、その姿を目で追っていると、不意に栗山さんがこちらに視線を向ける。
「あ、伊織さん…!」
私を見つけるなり、笑顔を浮かべて駆け寄って来た。
「今日は、一人で買い物?」
「と、友達と買い物し終わって、もう帰るところなんだ…。」
「そっか…。」
ぎこちなく答えると、栗山さんの隣にいる男の子が私を凝視した。
「亜季菜、この子…誰?知り合い?」
「えっと、中学の頃の同級生…。すごく久しぶりに会ったからビックリしちゃった!」
最近、よく桜瀬駅で遭遇してるのに…。
「ねぇ、慶太(ケイタ)。私、ちょっと伊織さんと話してもいい?」
「ああ、いいよ。んじゃ、俺…あそこの書店で時間潰してるから。」
「ありがとう!」
可愛らしく笑って、男の子を見送った栗山さん。
話って、何だろう…。
身構えていると、栗山さんは私にニコッと微笑んだ。
「そろそろ、瀬ノ内君と別れる決心ついた?」