俺は、お前がいいんだよ。
Chapter*2
断るはずだったのに
「えぇっ、瀬ノ内君が…!?」
「……うん。」
「そんなことっ、有り得るんだ…。」
「私も、かなり驚いた。」
翌日の休み時間。
昨日の瀬ノ内君からの呼び出しが何だったのかを恵理子に聞かれ、あの雨の日の出来事を説明した私。
予想通り、恵理子からは驚きの声が零れた。
「それってさ、なんだか…運命的だね。」
「そ、そう?単に偶然が重なっただけだよ。」
運命でも何でもない。
「でもさ、偶然がいくつも積み重なったら、運命になっちゃうんじゃない?」
「えっ…」
真っ直ぐな視線を注ぐ恵理子に、言葉を詰まらせてしまった。
そんなわけ…ないよ。
多分……。
「由依と瀬ノ内君は、結ばれる運命だったりして…。」
ニヤリと笑う恵理子に、私はブンブンと首を横に振った。
「無い!絶対に無いよ!どう考えても有り得ないっ…!」
「どうして?“絶対に”なんて根拠は存在しないでしょ。」
「根拠がなくても、有り得ないよ。こんな…素直になれない私を好きになってくれる男の子なんて、いない…。」
どこにも、いるわけがない。