俺は、お前がいいんだよ。

「伊織さん、瀬ノ内君の彼女でいることが、彼にとって迷惑になるって思ったことないの?」


「め、迷惑…?」


「だって、自分の彼女が見た目も性格も微妙な人じゃ、瀬ノ内君…周りの目が気になるだろうから、色々と大変でしょ。」


「…………。」


「口には出さないけど、瀬ノ内君…疲れてると思うよ?ついこの前、私たちの高校で運営委員のミーティングした時も、なんだか元気なかったもん。それって、伊織さんが原因じゃない?」


「私…?」


ぎこちなく首を少し傾げると、栗山さんは呆れた様子で溜め息を零す。


「だって、気を遣いながら付き合うのは苦痛でしょ?でも、瀬ノ内君は優しいから、いきなり伊織さんと別れたりしたら可哀想だと思ってるんだよ。だから、別れられないんだと思う。」


睨むような視線が、容赦なく私に注がれた。




「ここは、空気を読んで…伊織さんから別れを切り出しなよ。」


放たれた言葉が鼓膜を冷たく震わせる。


ズキン…と胸に痛みが走った。


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