俺は、お前がいいんだよ。
「栗山さん、一緒の班じゃなくて良かったね。」
私の耳元でポツリと呟いた恵理子にコクンと頷いた。
でも、何かのタイミングで話し掛けてきそうな予感がするんだよね…。
私が陽希と別れたのか、確かめるために…。
ドクンドクンと心臓が荒く波打つのを感じていると、後ろからトントンと軽く肩を叩かれる。
ビックリして振り向くと、そこには陽希が立っていた。
「由依、おはよ。」
「お、おはよう…陽希。」
一瞬…栗山さんかと思っただけに、笑顔の陽希を見たら、ホッとしてしまった。
「なんだか、眠そうだな。昨日…眠れなかったのか?」
私の目元に陽希の指がそっと触れる。
心配そうな表情だ。
「う、うん…。他校との交流を兼ねたキャンプだから緊張しちゃって眠れなかったんだ…。」
「そっか。あんまり無理すんなよ?」
「ありがとう…。」
本当は、栗山さんのことばかり考えて不安になったりして眠れなかったんだけど…
今…ここでそれを陽希に話したら、余計な心配掛けちゃうだけだもんね…。