俺は、お前がいいんだよ。
「由依ってば顔赤くなってるよ~!瀬ノ内君に何をコッソリと耳打ちされてたのかな~?」
恵理子がニヤニヤしながら私の脇を肘でつつく。
「なっ、何でもないよ!」
「いやいや、何もないわけないじゃん!いいなぁ~、瀬ノ内君とラブラブで。」
「も、もう…」
ニンマリ顔の恵理子を見ながら、余計に顔が熱くなるのを感じていると、不意に視線を感じた私。
辺りをグルッと見回すと、少し離れたところで、こちらを冷ややかな目で見ている栗山さんの姿が映る。
驚いた私は、すぐに視線を逸らした。
もしかして、今の陽希とのやり取りを見ていた…とか?
嫌な汗が背中をつたう。
おそるおそる栗山さんの方に視線を戻すと、もう私のことは見ていなくて、男の子と笑顔で話している姿が目に映った。
一瞬、目が合っただけだったけど…怖かった。
殆ど無表情だったし……。
陽希と話してたの見たなら、別れてないんだ…って察したよね、きっと…。