俺は、お前がいいんだよ。

「由依、どうしたの?急に強張った表情になってるよ…?」


「ううん、何でもない。班のメンバーも揃ったし、私たちも移動しよ?最初は隣接の学習支援センターで、ディスカッションだったよね?」


「……うん。」


「みんな移動し始めてるし、遅れたら大変だよ!」



不思議そうな顔の恵理子に、笑顔を作る。


表情をあまり見られないようにと、足早に歩いた。


落ち着け、私。


栗山さんに見られてたって、別にどうってことないじゃん…。


もともと、陽希と別れたくないことを伝えるつもりでいたんだし。


堂々としていればいい…。


キュッと唇を噛み締めた。


その後、学習支援センターで班ごとのディスカッション、昼食を挟んで屋外でのレクリエーションが行われたけれど、特に栗山さんが接触してくることはなく…


何事もないまま、夕食の準備をする時間になった。


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