俺は、お前がいいんだよ。

「私、栗山さんの言葉を聞いたら弱気になっちゃって、別れた方がいいかもしれない…なんて考えたけど、そんな時に陽希の温かい言葉がたくさん頭の中に浮かんだの…。それで、今日…ちゃんと栗山さんに“陽希と別れたくない”って、伝えようと思ったんだ。」


「…………」


「このことを話したら、陽希は凄く心配すると思って黙ってた。迷惑かけないように自分で解決したかったんだ…。」


「さっきは…あの女に、呼び出されたのか?」


「ううん、違う。広場に移動しようとしたら、あそこでバッタリ会ったの。」


「…そうか。」


少し俯く陽希。


悲しさを帯びた表情に、胸が苦しくなった。


「ごめんなさい…。私が一人で何とかしようと思ったことで、陽希たちに余計に心配も迷惑も掛けちゃった…。本当に、ごめんなさいっ…。」


震える唇を固く結んで頭を下げる。


すると、陽希にフワリと優しく抱きしめられた。


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