俺は、お前がいいんだよ。
「でも…偉そうなことを言う前に、由依に…どんな時でも頼ってもらえるような男にならないとな、俺。」
今だって、充分過ぎるぐらい…頼もしいよ。
陽希の言葉にジワリと目頭が熱くなる。
私は、陽希の服をキュッと握った。
「……ありがとう、陽希。」
声が震える。
胸がいっぱいで、その言葉を口にするのが精一杯だった。
陽希は、いつも…どんな時も、私を想ってくれてる。
感謝の気持ちは“ありがとう”だけじゃ伝えきれないぐらいだ。
「俺も、お礼…言いたかったんだ。」
「えっ…」
胸元に埋めていた顔を上げると、陽希は照れくさそうに笑った。
「さっき、あの女に“別れたくないし、別れない”ってキッパリ言ってくれてただろ?あの時、俺…すげぇ嬉しかった。由依、ありがとう。」
「そ、そんな…お礼を言われることじゃないよ。陽希が好きなのに、私から手離すなんて絶対に嫌だから、その気持ちを…ちゃんと栗山さんに伝えなくちゃ…と思っただけ。」
小さく呟くように口にすると、陽希の頬が赤く染まった。