俺は、お前がいいんだよ。

そして、放課後。


手早く帰り支度を終わらせた私は、すぐに5組の教室の前へ。


入り口から中を覗くと、窓際の真ん中あたりの席のところで、男の子たちと喋っている瀬ノ内君の姿が目に映った。


話し中か…。


大声で呼ぶ…ってのも恥ずかしいものがある。


かと言って、ここでずっと待ってるのもなぁ…。


うん、明日にしよう。


絶対に今日中に返事をしなくちゃいけないなんて決まりはないもんね…。


心の中で頷きながら、教室の入り口から離れようとした、その時。


「あれ?君……」


クルリと振り向くと、茶髪の男の子が立っていた。


この人、瀬ノ内君の友達の……柏木君だっけ。


「もしかして、陽希に用事?呼んで来ようか?」


うそっ、呼んで来てくれるの!?


ぜひ、お願いします…!


思わぬ言葉に、遠慮なくコクコクと頷いた。


「了解。ちょっと待っててね。」


ニッコリと爽やかな笑みを浮かべた柏木君は、瀬ノ内君のいる窓際の方に視線を向けた。


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