俺は、お前がいいんだよ。
「なんだよ、誠。邪魔すんな。」
「そんな敵意むき出しで怒んなって。担任がお前を呼んでるから、それを伝えに来たんだよ。昨日…提出したキャンプの運営委員のレポートあるだろ?あれに関して話があるってさ。」
「…ったく、面倒だな。」
はぁ…と溜め息を零す陽希。
憂鬱そうな面持ちで立ち上がると、私に視線を向ける。
「由依、悪いな。急遽…担任のところに行かないといけなくなったから、先に行くよ。」
「うん、また後でね…。」
「…ああ。」
陽希は私の頭をポンポンと撫でた後、校舎の方へと走って行った。
運営委員って、キャンプが終わった後も大変なんだな…。
そう思いながら、食べ終わったお弁当箱を片付けていると、柏木君が私の隣に腰を下ろした。
「陽希のヤツ、伊織ちゃんを溺愛し過ぎだよね。毎日、笑顔が絶えないし。」
「私も、陽希と居ると自然と笑顔が増えるよ。毎日が、とてもキラキラしてる…。」
「陽希と伊織ちゃん、羨ましくなるぐらいのアツアツっぷりだね。」
「そ、そうかな……。」
カアッと熱くなる頬に、手で仰いで風を送った。