俺は、お前がいいんだよ。

「そう言えば、もうすぐ陽希の誕生日だったっけ。伊織ちゃんは、もちろん…一緒に過ごすんだよね?」


「えっ!?」


た、誕生日…?


柏木君からの思わぬ言葉に、私は目を見開いた。


「陽希の誕生日って、近いの?」


「うん。来週の日曜日だけど…もしかして初耳だった?」


コクコクと何度も頷く。


まさか、一週間後に陽希の誕生日が控えてるだなんて思ってもみなかった…。


「そっか…。まあ、そうだな。考えてみれば、陽希が言うはずないか。」


「……どういうこと?」


「アイツってさ、毎年…自分の誕生日を忘れてるんだよね。今までも、俺が“おめでとう”って言って気付いたり、家族にお祝いされて気付く…みたいな感じだったから。」


「そ、そうなんだ……。」


誕生日に対して、あまり興味がないのかもしれない…。


「陽希、誕生日のお祝いとかするのは…好きじゃないのかな…。」


ポツリと呟くと、柏木君は首を横に振った。


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