俺は、お前がいいんだよ。
「ありがとう…。でも、お店が忙しくなっちゃうだろうから、そのままでいいよ。」
「本当に?」
「うん。それにね、私…陽希がバイトしてる姿を一度見てみたいな…って思ってたんだ。だから内緒で行ってみようかと思って…。」
「おっ、それ…いいじゃん!陽希、驚くよ。そんで、すげぇ喜びそう。」
声を弾ませる柏木君に、微笑んだ。
陽希の誕生日は、普段の私が…なかなか出来ないことを思いきってやってみよう。
いつも、陽希が私を笑顔にしてくれる。
ドキドキさせてくれる。
だから、今度は私が陽希を笑顔にしたいし、ドキドキさせてみたいんだ…。
「あっ、柏木君…。」
「ん?」
「陽希の好きな場所とか好きなこと、知ってたら教えて欲しい…です。陽希が喜ぶこと、色々としたいから…。」
「うーん、そうだなぁ……」
張りきって訊ねると、柏木君は少し考えるような仕草をしてから、私に優しく笑った。