俺は、お前がいいんだよ。

照れくさそうに呟く陽希。


その表情を見ていたら、私も顔が熱くなってしまった。


「陽希、早くお客様を席に案内して……あ!」


固まってる陽希を不思議に思ったのか、直さんが足早に近付いて来る。


でも…私を見るなり、納得…と言わんばかりの笑みを浮かべた。


「どうしたのかと思ったら、陽希の大事な彼女のご来店か…!その様子だと、お店に来ることを事前に聞いてなかった…ってところかな?」


「は、はい。よく分かりましたね。」


「その顔を見れば一目瞭然だよ。嬉しいのは分かるけど、彼女も今日は…お客様だ。早く席に案内してあげて?」


「そうですね、すみません…。じゃあ、由依…こっち。」


陽希に連れられて、私は一人用の小さな席へと案内された。


「注文どうする?フレンチトースト、食べてくか?」


「えっと……」


食べたい気持ちは山々だけど、後で陽希と一緒にバースデーケーキを食べる予定になってるんだよね。
 

だから、今日は飲み物だけにしておこう。



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