俺は、お前がいいんだよ。
先にカフェを出た私は、お店の前で陽希を待つ。
16時を回り、暫く経ったところでバイトを終えた陽希が私のところに駆け寄って来た。
「由依、お待たせ。俺が来るまでに、誰にも声掛けられなかったか?」
「うん、全然。」
「それなら良かった…。」
キョロキョロと周りを見回した陽希。
ホッと安心した表情を浮かべた。
「それで、これから…どうする?由依、どこか行きたい場所ある?」
笑顔で訊ねられた私は、ドキドキしながら頷く。
「あの、私の家に来て欲しいんだけど……いいですか?」
「由依の家…!?」
「う、うん…。陽希と二人きりでゆっくり過ごしたい気分だから…。お、お家デートしてみたいなと思って……。」
今日を迎えるまで、陽希と一緒に楽しく過ごせる場所を、あれこれ考えてきた。
公園、映画館、遊園地、水族館…他にも色々と候補を頭の中に並べた私。
どの場所も、きっと…楽しい時間を過ごせるだろうと思ったけど、最終的に選んだのは自分の家だった。