俺は、お前がいいんだよ。
「今、かなりドキッとした…。由依、可愛すぎだろ…。」
頬を赤くさせながら微笑む陽希に、私の心臓も跳ね上がった。
陽希だけじゃなく、私までドキドキしちゃってるよ…。
繋いだ手から、この波打つ鼓動が陽希に伝わってしまいそうだ。
「…今日、家デートにして正解だな。」
「えっ?」
「こんな可愛い由依を、俺以外の男にジロジロと見られたりすんのは嫌だから。」
陽希は私の耳元に顔を近付ける。
「家なら、独り占めできる…。」
甘い声で囁かれた途端、湯気が吹き出しそうなぐらい顔が熱くなった。
心臓の音、すごい…。
これが静かな家の中なら、間違いなく聞こえそうなレベルだよ…。
私は、空いている方の手で胸元を押さえた。
なんだか、私の方が陽希にドキドキさせられてるような気がする…。
何倍も、何十倍も…。
こんな調子で、心臓…保つのかな。
でも、陽希のサプライズバースデーは家に着いてからが本番。
なんとか持ちこたえて、素敵な誕生日にしなきゃ…。
桜瀬駅へと向かって歩く中、私は改めて意気込んだ。