俺は、お前がいいんだよ。

「すげぇ気に入った。ありがとう、由依。この腕時計、大事に使わせてもらうよ。」


優しく微笑む陽希。


プレゼントも喜んでもらえて良かった…。


サプライズが成功してホッとしていると、陽希は頬を少し赤くして、照れくさそうに笑った。


「好きな人に祝ってもらえる誕生日は、こんなにも嬉しくて幸せな気持ちになるんだな…。」


私の頬に触れる陽希。


顔が近付いてきたかと思うと、唇にキスを落とした。 


「今までの中で、今日は…間違いなく最高の誕生日だ…。こんなに素敵な誕生日を、本当にありがとう…。」


陽希の柔らかな眼差しと温かい言葉が胸を震わせる。


“最高の誕生日”


そう言ってもらえたことが嬉しすぎて、ジワリと涙が込み上げてしまった。


「いつも、陽希から…たくさんのドキドキや幸せをもらってる。陽希に、笑顔にしてもらってる…。だから、今日は…私が陽希をいっぱい笑顔にしたかったんだ…。」


「由依……」


「だから、そんな風に言ってもらえて嬉しい。ありがとう…。」


言い終えると同時に、ひと粒の涙が零れ落ちる。


目元を拭おうとして伸ばした手を、陽希がギュッと掴んだ。


< 347 / 350 >

この作品をシェア

pagetop