俺は、お前がいいんだよ。
「ここ、覗いてたよな。」
「えっ…」
そう言って、二台の自動販売機の間を見る男の子。
程なくして、“あ…”という声と共に私の方をチラリと見た。
「もしかして、奥に落ちてる500円玉…拾おうとしてた?」
「言っておきますけど、それ…私が落としたものですから。最初から落ちてたとか、そんなんじゃないですから。」
「別に、疑ったりしてないし。っていうか、そういう考えすら…頭に浮かんでなかった。」
サラリと言う男の子に、私は言葉に詰まってしまった。
不審がってたし、てっきり…疑われたと思ったんだけど、違ったのか…。
拍子抜けしていると、男の子はスッとしゃがんで自動販売機の間に手を突っ込んだ。
「えっ、何してるんですか!?」
「これを拾いたかったんだろ?このぐらい隙間あれば、俺…とれると思うから。」
突然の行動に驚いた私は、男の子の傍に駆け寄った。