俺は、お前がいいんだよ。
それから並んで待つこと50分。
ようやく私たちは店内に入ることが出来た。
木目調の開放感が溢れるカフェ。
淡いオレンジ色の照明で落ち着いた雰囲気だ。
素敵なお店だなぁ…。
案内された席でキョロキョロと辺りを見回していると、瀬ノ内君は私にメニューを開いて差し出した。
「伊織はフレンチトーストでいいんだよな?」
「う、うん…。」
コクンと頷いた時、店員らしき男性が私たちの席にやって来た。
「陽希、いらっしゃい!」
「あ、直(タダシ)さん。お久しぶりです。」
「早速、店に来てくれたんだな。誠から聞いてると思うけど、バイトの件…よろしくな。」
「はい、また連絡します。」
会釈する瀬ノ内君。
この店員さんと知り合いみたい…。
ん、待てよ…?
今…“誠”って言ってたよね?
ということは……。
「伊織、こちら…カフェの店長で誠のお兄さんの直さん。」
「初めまして、柏木 直です。宜しくね。」
「は、はい…宜しくお願いします。」
爽やかな笑顔の直さんにお辞儀をした。
やっぱり、柏木君のお兄さんだったんだ…。