俺は、お前がいいんだよ。
そんな真剣な表情で言われると、強気で断りにくい…。
まあ、お礼とは言え…想像以上に美味しいフレンチトーストをご馳走になって、すごく幸せな気持ちにさせてもらったからなぁ…。
妹さんを喜ばせたいっていう、瀬ノ内君の気持ちは素敵だと思うし……。
少し考えた私は、ゆっくりと口を開いた。
「いっ、いいよ…。」
「えっ…」
「プレゼント選び、付き合う…。」
呟いた途端、瀬ノ内君は瞬きを繰り返す。
そして、いきなり私の両手をギュッと握ってきた。
「ありがとう、伊織。」
向けられた無邪気な笑顔と手の温もりに驚いた私は、慌てて視線を逸らす。
「言っておくけど、妹さんが喜ぶプレゼントを選べる保証は無いからね…!その辺は了承してよね…。」
「ああ、分かった。」
嬉しそうに声を弾ませる瀬ノ内君は、握っていた手を離す。
チラッと表情を見ると、明るい笑顔だった。