俺は、お前がいいんだよ。
「いや、そんなことないよ。テンション上がってた伊織ちゃんの方が、生き生きしていて可愛いんじゃない?」
「かっ、可愛くないし!」
ブンブンと首を左右に振った。
「全力で否定しなくてもいいのに。」
「いやいや、否定するでしょ…普通。」
即座の返答に柏木君は可笑しそうに頬を緩める。
違う車両に移りたいな。
でも、車内は満員状態だから移動は出来そうにないや…。
私は、ガクリと肩を落とした。
「柏木君たち、変わってるなぁ…。」
「“たち”ってことは、もしかして俺と陽希?」
どうやら、心の声を無意識のうちに口にしてしまったらしい。
「俺ら、普通な気がするんだけど…何か変なところある?」
「普通じゃないよ。柏木君みたいに私のことを可愛いなんて言う男の子、今まで居なかったもの…。瀬ノ内君は、お礼が終わったら、今度はプレゼント選びに付き合って欲しいって頼んでくるし…。」
二人とも、なんの偏見もなく話し掛けてくるから、戸惑うばかりなんですけど。