俺は、お前がいいんだよ。
改札口を抜けて、連休で混雑しているプラットホームへ。
ちょうど停車している電車へ乗り込んだ。
「あ、あの…今日はどこに行くの?」
「夕凪駅の傍、ほら…海沿いにあるショッピングモール。あそこなら、色々なものが揃ってるだろうから。」
「そっか、なるほど。」
確か、そのショッピングモールって先月オープンしたばかりだよね…。
テレビや雑誌で話題になってる、今…注目のスポットだ。
へぇ、そこに行くのか。
兼ねてから、行きたいなぁ…と思ってた場所だっただけに、内心…喜んでいる私がいた。
「伊織、なんか…嬉しそうだな。」
「そ、そう…!?別に、普通よ。」
……って、無理な切り返しなんかしたりして、馬鹿だな私は。
そんなの、素直に喜んだっていいのに。
心の中で溜め息を零していると、周りからヒソヒソと話す女の子たちの声が耳に入ってきた。
「ちょっと!あの男の子…すっごくカッコいいよ~!」