俺は、お前がいいんだよ。
瀬ノ内君の大きな手に包まれている自分の手を見つめた。
なんだか、こうして触れられてることに妙なドキドキ感があって、調子狂う…。
これも、瀬ノ内君が電車の中で変なこと言うからだよ。
心の中で密かに溜め息を零した。
「伊織、どこに行く?たくさん店があるから、どの店に入るか迷うな。」
「うん。あ、妹さんのプレゼント…本当に私の独断と偏見で決めちゃって大丈夫?」
「もちろん。俺じゃ、よく分からないからさ。」
「ふ、ふーん。それじゃあ、ネットで良さそうなお店があったから、そこに行ってみる?」
「ああ。」
「えっと、お店の場所は…」
スマホでショッピングモールのサイトの地図を確認していると、一緒に画面を覗き込んできた瀬ノ内君。
「な、なんで覗き込んでるの?」
「いや、なんとなく。っていうかさ、伊織…あらかじめ行く店を調べてきてくれてたんだな。妹のために、わざわざ…ありがとう。」
至近距離でお礼を言われて驚いた私は、手に持っていたスマホを危うく落としそうになった。