俺は、お前がいいんだよ。
「べ、別にお礼を言われるほどのことじゃないし!たくさんお店があるから、効率よく見ないと無駄な時間が掛かると思っただけ。」
片っ端からお店を見てたら日が暮れちゃう。
こういう時は、お店を絞った方がゆっくり選べるし…。
それに、プレゼント選びをスムーズに終わらせて帰りたい。
よく分からない、この変なドキドキから解放されたいから。
「瀬ノ内君、場所…分かったから行こう?」
「お、おう。」
スマホをバッグにしまい込んだ私は、瀬ノ内君の手を少し引っ張るように足早に歩く。
賑わう人混みをすり抜けて、目的のお店へと辿り着いた。
「伊織、ここ?」
「うん。あの、何か異議あり?」
「いや、全然。」
本当にそう思ってるんだろうか…。
首を横に振った後、笑顔でサラリと答える瀬ノ内君に疑念を抱いた。