俺は、お前がいいんだよ。
まさか、そんな言葉が降ってくるなんて思ってなくて、目を見開いた。
「私、傷ついてなんかいないよ。だって、事実なんだから。」
「だったら、なんで話してる時…悲しそうな顔してたんだよ。」
「……………。」
うそ…。
私、そんな顔してたの…?
無意識のことで驚きを隠せずにいると、瀬ノ内君は耳元に唇を寄せた。
「俺、伊織が微妙だとか他の女子より劣ってるとか、そんな風に思ったこと無いよ。伊織は笑顔も少し照れくさそうにしてるところも可愛くて、心の優しい女だから…。」
「ななっ、何言ってるの!?そんな訳ないじゃん!適当なこと言わないでよね…!」
瀬ノ内君の胸を力いっぱい押して、慌てて離れる。
熱くなった耳を手で覆った。
「ほら、そうやって恥ずかしそうに全力否定するとこも可愛いじゃん。」
フッと笑う瀬ノ内君。
途端に和らいだ表情を見せられた私は、何も言葉を返せなかった。