俺は、お前がいいんだよ。
「伊織、今日は本当にありがと。一緒に選んでもらって助かったよ。妹、絶対に喜ぶと思う。」
「な、何度もお礼…言わなくていいよ。」
「でも、言いたかったから。」
プレゼントの入った紙袋を見る瀬ノ内君。
なんだか、嬉しそう。
妹さんのこと、可愛くてたまらないんだろうな…。
「今年も、家族みんなで妹さんの誕生日のお祝い…するの?」
「ああ、そのつもりだけど……俺、伊織にそんなこと話したっけ?」
「えっ…」
「今、“今年も”って言ってたから。」
「あ、前に柏木君から聞いたんだ…。毎年、瀬ノ内君の妹さんの誕生日は、両親がケーキやプレゼントを用意して、みんなでお祝いしてるって…。」
瀬ノ内君の表情が少し曇る。
私、何か変なこと…言った?
首を傾げると、瀬ノ内君は躊躇いがちに口を開いた。
「その話、誠から聞いたの…いつ?」