俺は、お前がいいんだよ。
ポツリと呟く瀬ノ内君。
「俺にとっては、伊織との会話の中にどうでもいいものなんか、一つもねぇ。」
「………。」
それって、私の話す言葉の一つ一つを大切に思ってくれてる…ってこと?
いや、そんなわけない…。
今のは、ちょっとした冗談…みたいなものだよね?
「つーかさ、今…話してくれた伊織の中学時代の男たち、見る目ねぇヤツばかりだったんだな。」
「えっ…?」
「だって、本当の伊織は優しくて、好きなスイーツには…とびっきりの笑顔を見せる、可愛い女なのに。」
その発言にビックリした私は勢いよく立ち上がった。
「なっ、何言ってるの!?私、優しくなんかないし、可愛くもない!!適当なこと言わないでよ…!」
一人でアタフタしていると、瀬ノ内君はスッと立ち上がる。
「俺、適当なこと言ってるように見える?」
真っ直ぐ見つめられた私は、少し間を置いてから首を横に振った。
そうせざるを得なかった。
だって、とても真剣な眼差しだったから。