俺は、お前がいいんだよ。
また私、心が乱れてる。
もう帰りたい…。
「あの、少し休憩したし、屋上庭園も楽しめたから、そろそろ帰ろ?」
瀬ノ内君に背を向けて、来た道を戻ろうとして足早に歩き始めた私だったけど…
「伊織…!」
突然、大きな声で呼び止められた私は、驚いて後ろを振り返った。
「な、何?どうしたの…?」
瀬ノ内君から少し離れてるだけなのに、声のボリューム…大き過ぎでしょ。
私たちの近くには、幸い…人が居なかったから良かったけど、もしも居たら…その人たちまでビックリさせちゃうところだった。
固まってる私の傍に、瀬ノ内君はスタスタとやってきた。
「…もう無理だな、これ以上は。」
「は、はい…?」
何が無理だっていうの…?
サッパリ分からなくて、パチパチと瞬きを繰り返した。
「俺、当初は…妹の誕生日プレゼントを買うつもり、無かったんだ。」
「えっ…」
どういうこと……?