俺は、お前がいいんだよ。
「毎年、妹の誕生日は親がケーキやプレゼントを用意して、家族全員で祝うようにしてるんだ。だから今年も、その予定だった。」
あ…。
前に柏木君が、そう言ってたっけ。
「そ、それなら…今年はどうして……」
「……伊織と再会したから。」
「私…!?」
「ああ。もっと話したくて、傍に居たくて、会う理由を作った。お礼の流れから妹の誕生日プレゼント選びに付き合ってもらうのは、さすがに強引かな…とは思ったけど、伊織がOKしてくれて良かった。」
確かに、カフェでフレンチトーストを奢ってもらった後、いきなりプレゼント選びを頼まれたから、すごく不思議に思った。
なんで私が…って。
「傘とハンカチのお礼も、最初…断られたから、どうしようかと思ったけど、誠の持ってきたチラシに救われた。そのおかげで、伊織と少しだけど話も出来たから。」
「ど、どうして…そこまでして私と話をしようとしてたの?会う理由を作る必要…あったの?」
疑問を口にする私に、瀬ノ内君は少し照れくさそうに頭を掻いた。
「…そりゃ決まってんだろ。伊織は、俺の…初恋の人だからだよ。」