俺は、お前がいいんだよ。

「…ちょ、ちょっと待ってよ!付き合うだなんて、そんなの無理が……」


「拒否するのは、ナシだから。」


断ろうとしたけれど、瀬ノ内君からキッパリと拒否禁止を宣告されてしまった。


「そんなこと言われても困るよ…!そもそも、好きだから付き合うんだよね?私…瀬ノ内君のこと、好きとかいう以前に、よく知らないし…。」


瀬ノ内君と再会して、約半月。


会話はしてるけど、決して回数は多くない。


ほぼ初対面のような感じだ。


こんな状態で付き合うなんて、普通は有り得ないでしょ…。


「知らなければ、付き合っていく中で知っていけばいいだろ?」


「えっ…?」


「俺だって、伊織の全てを知ってるわけじゃねぇよ。むしろ、知らないことの方が多い。だから、これから色んな伊織を見つけたいと思ってる…。」


知ってから付き合うんじゃなくて、付き合う中で知っていく……。


そういう考え方も有るのか…。


驚きながらも、心のどこかで少し納得している私がいた。


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