俺は、お前がいいんだよ。

「とにかく、伊織には俺のこと…もっと知って欲しい。もし一緒に居るのが嫌だな…と思ったら、その時は遠慮なく振ってくれていいから。」


最初から断るのはダメだけど、付き合い始めた後ならいいのか…。


それなら……


暫く黙っていた私だったけど、小さく溜め息をついてから口を開いた。



「……分かった。」


「えっ…」


「断れないなら仕方ないでしょ?気は進まないけど……」


呟くように口にすると、瀬ノ内君はホッと安心したような笑みを零す。


「ありがと、伊織。」


声を弾ませる瀬ノ内君に、私は大げさな咳払いをした。


「忠告しておくけど、私のこと…知れば知るほど落胆して、嫌いになってくと思うよ?私よりも先に、瀬ノ内君が付き合うのを止めたくなるんじゃないかな…。」


きっと、すぐに今日の発言を後悔する日が来るに決まってるよ…。


そう思っていると、瀬ノ内君は首を横に振った。



「いや、それは絶対にねぇよ。」


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