真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
どうしてこんなに憂鬱な気分になるのかしら…。
自問自答しても答えは見つからなくて
まるで、迷宮を彷徨っているような
なんとも言えない不満と不安。
それは決して、眠れないほどの悩みでもないけれど
晴れない気持ちはつまらない。
「久しぶりに会いたいの…」
気持ちをはぐらかすように、携帯に登録していた顔も思い出せない男に電話をかけた。
さっきまで明るかった空がいつの間にか闇に染まっていく。
呼び出した男は10歳も年上の弁護士だった。
思いがけずにランクの高いレストランでコース料理に赤ワイン。
「美味しいわ…」
「君の笑顔が見れて良かった。」
並べたててくれる言葉も
イチゴの生クリームサンドほど甘くはない。