真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜

気持ちを晴らすためだけに、一晩、適当な男に抱かれた後は


思い出したくもない顔が頭に浮かぶ。



ねえ光太…

いつまであんたは、私を不愉快にするのかしら…?


記憶の奥底に封じ込めるだけじゃ、あなたは勝手に私の前にまた現れる。


いっそ、記憶ごと失ってしまえれば清々しいのに…。


「柑奈、今度はいつ会えるかな…?」

裸のまま、体を起こした弁護士の彼はタバコに火をつけて、白い煙を吹き出す。

ジリジリと赤い熱がその身を焦がし尽くすまで、繰り返しその白い煙を吸っては吐き出す。


私の恋もそうだった。

恋い焦がれて燃え尽きた後に残ったのは

何もかも失った、空っぽな私だけ。


「時間ができたらまた、声をかけるわ」

彼に背中を向けると、ふわりと優しく頭を撫でられた。

「釣れない所がまた魅力的だよ…」


< 19 / 104 >

この作品をシェア

pagetop