真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
気持ちを晴らすためだけに、一晩、適当な男に抱かれた後は
思い出したくもない顔が頭に浮かぶ。
ねえ光太…
いつまであんたは、私を不愉快にするのかしら…?
記憶の奥底に封じ込めるだけじゃ、あなたは勝手に私の前にまた現れる。
いっそ、記憶ごと失ってしまえれば清々しいのに…。
「柑奈、今度はいつ会えるかな…?」
裸のまま、体を起こした弁護士の彼はタバコに火をつけて、白い煙を吹き出す。
ジリジリと赤い熱がその身を焦がし尽くすまで、繰り返しその白い煙を吸っては吐き出す。
私の恋もそうだった。
恋い焦がれて燃え尽きた後に残ったのは
何もかも失った、空っぽな私だけ。
「時間ができたらまた、声をかけるわ」
彼に背中を向けると、ふわりと優しく頭を撫でられた。
「釣れない所がまた魅力的だよ…」