真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
1番避けていた相手だから…
「サンドイッチを買いに行きたい…」
「へっ?」
仕事中、自分でも気づかないうちに呟いた言葉に後輩のちょこがキョトンとする。
「私…今、何か言った?」
「えっ?ええ…サンドイッチがどうとか…」
「…忘れて」
「はあ…」
不思議そうに首を傾げた後輩を私は見ることもせずに、呟いた。
最近の私…どうかしてる。
四六時中サンドイッチのことばかり。
この2日、買いに行かなかっただけで、こんなにも淋しい気持ちになってる。
「柑奈、あんた好きな人ができたんじゃないの?」
仕事終わり、更衣室で結菜に、声をかけられて、思わず「バカなこと言わないでよ」と笑ってしまった。
私が恋?
何に?
サンドイッチに?
笑いながら頭の隅に浮かんだ、サンドイッチ屋さんのお兄さんの顔。
ないないない。
あり得ない。
第一、私は結婚してる男に興味はない。
あえて、面倒な事は避けたいタイプだ。
しかも!あのお兄さんはお金もなさそうだし、容姿だって中の中。つまり、普通レベル。
相手にもならない。
圏外だよ。