真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜


「1人で夕飯?」

家までの道

何気なく聞いた私に、彼は逆に不思議そうに「そうですけど…?」とこたえた。


奥さんはまさかの別居中?

探るのはやめといたほうがいいのかしら…。

当たり障り無い話題を選びながら話していると


驚いたことに映画の趣味が同じで話が盛り上がった。


「あの監督の最初のほうの作品は、レンタルしてないんですよねー」と、肩を落とした彼に

「私は全部買って持ってるよ」なんて子供みたいな自慢。

「今度、貸して下さいよ」

「いいわよ。その代わり、イチゴの生クリームサンド奢ってよ」

「いいですよ!」

笑いながら歩いていると、いつの間にかマンションの前に着いていて

それに気づいた私たちに少しの沈黙が訪れた。


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