真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜


意地悪く感想でも教えてくるつもりかしら…、

「何よ…」

言われた通りに舌をだした自分が恥ずかしいけど、レジカウンターに身を乗り出した彼に近づく

瞬間

重なった唇。

生クリームが

舌に絡まって

甘ったるいキス。

何度も繰り返されるキス。

背後のガラス窓から見られてないかと背中が敏感になる。


それでも

繰り返し重なる唇に

心が

乱れていく。

もっと欲しいと

酔わされる。

やっと唇が離れると「ね?他のと違うでしょ?」と爽やかに微笑まれて

急上昇する熱。


「バカっ…」

そう言いながら

彼から目が離せない。

ヤバイ…

もっともっと彼が欲しいって

もっともっと知りたいよって

心が

鳴いてる。

知りたくて

知るのが恐くて…


聞けない質問を飲み込んだ。


「また、いつでも来て下さいね」

笑う彼からサンドイッチの入った紙袋を受け取って

足早に店をでて

マンションにはいる前に一度だけ振り返る。


奥さんいるんでしょ…?

それなのにどうして?

聞けない質問が

胸をざわつかせていく…。



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