真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜

個人経営の小さなサンドイッチ屋さんは、私と変わらないか、少し若いくらいの夫婦が営んでる。

オープンした頃はよく足を運んだけど、いつしか飽きて

頭にその存在が浮かぶこともなくなっていた。


「よし、決まり。今日はサンドイッチ!」

歩道を渡った頃、店主のお兄さんが出て看板の灯りを消そうと電源に手をかけるのが見えた。

「ちょっと待って‼」

慌てて止めると、お兄さんは少し驚いた顔をして振り返った。


「今、店閉めちゃうの⁉もう何も残ってないの?」


「閉めようと思ってたけど…売れ残りでよければまだ少しありますよ」

「それ下さい!」

「ありがとうございます」そう言ったお兄さんは看板のコンセントを抜いた。

看板の灯りが消えたお店に入るのは妙な気分だ…。


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