真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜

「やっぱり、そんなとこだろうと思ったよ…

だから柑奈さんは楽でいい」


楽?

私が?



私の事を楽な女扱いした?

唖然としている私に、彼は「じゃあ」と行って背中を向けた。


楽ってどういう意味よ‼

唇をキュッと噛み締めてその姿が見えなくなるまで見ていた。


楽な女扱いをされたのは…初めてだった。

今までの男はどうにかして、私の気持ちを掴もうと必死だった…。



でも、もしかしたら過去に1人、私を楽な女扱いした男がいたかもしれない。



亜星と会ってから、思い出す事が減っていた。


光太、あんたも私を楽な女だなんて思っていたの?

不意に訪れた静けさ。

こんな日は思い出したくない記憶が頭の隅に蘇る。


しかも

泣きたくなるほど鮮明に

光太と過ごした12ヶ月の日々が

些細なことまで鮮明に蘇る。


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