真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
そう切り出したからこそ、軽い話じゃないことは分かる。
少し考えたあと
私は仕方なく頷いた。
知りたいことと
知らなきゃいけないことは違う。
その話しの内容は私には面白くもないないことかもしれない。
聞かなきゃ良かったと思うことかもしれない。
でも、私は頷いた。
何知らなかった
亜星に触れる
そんな気がして…。
「俺、実は今日…家内の実家に行って来たんです。」
「…そう。」
「報告をしてきました。」
「へぇ…なんの?」
「好きな人ができたって」
…
…
「そう?それで、奥さんはなんて?」
「彼女は何も言いませんよ。
だって、
もう。
とっくに亡くなっているんですから」
「えっ…?」
一瞬、自分の耳を疑った。
そして、店がオープンした頃、亜星と奥さんが中良さそうに働いていた事が不意に蘇る。
「なんで…?」
聞いていいのか、そんなことも考えずに私は、亜星の横顔を見つめた。