真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
大切な人を失った。
…
私はもしかしたら
どこかで、亜星に自分と同じ何かを感じていたのかもしれない。
「最後の線香花火、一緒にやりませんか?」
最後の2本に火をつけて、1本を受け取った。
「好きだからどうして欲しいとかじゃないんです。
彼女を好きになって、結婚して、彼女を失って
俺はずっと彼女だけを愛していくと決めて
最後の最後までそれを貫き通したい気持ちだった。」
「そう…」
「でも、違った。
人を好きになるのに、あの人好きかな?とか、嫌いかな?なんて頭で考えるものじゃなかったんですよね。
人を好きだと感じるのは心なんだって
柑奈さんに会って思い出しました。」
恋は心でするものか…
もしかしたら、私の心は光太と離れてからずっと、不感症だったのかもしれない。
そう…亜星に会うまで…。