真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
「彼女の事を忘れることはできません。
彼女は俺の中で死ぬまで大切な人、ということに変わりはないんです。
でも…どうしても、この気持ちを柑奈さんに伝えたかった…。」
重なる視線。
亜星の瞳に映る自分の姿を
いつか、光太を通して見ていた。
「忘れられない人…私にもいるよ」
「そう…ですか。」
「嫌いになって終われたなら良かったんだけど、気持ちも何もかも中途半端なまま…
突然、終わったの。」
それ以上は口にしたくなかった。
口にしてしまえば泣いてしまいそうな気がしたから。
亜星も察したのかそれ以上、何も聞いてこなかった。
線香花火が消えてく儚さに似て
人の過去だって儚い。
儚いものを人は大切にしたくなる。
いつかその過去が色褪せてしまっても…。