真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
けじめをつけると心に決めて
それでも、前を向くことを怖がっていた私に、転機が訪れた。
「あれ?仕事に行かないの?」
すると、玄関で靴を履いていた亜星が、むすっとした顔で振り向いた。
「昨日、俺の話し、ちゃんと聞いてなかったの?」
「話し?
だって、昨夜は家に帰って来るなりいきなりベッドインだったじゃない…。
と、いうか…
流石に亜星は私より若いだけあって体力にあからさまな差を感じる。
昨夜は、抱き合ってる最中にいつの間にか寝てしまっていた。
もしかしたら…そのせいもあって機嫌悪い?
「亜星…ごめんね?」
伺うように呟いた私の頬にキスをくれる。
「いいよ。柑奈さん、疲れてるみたいだったし。」
「で?お店を休みにしてどこに行くの?」
「うん…あいつの納骨堂。
けじめをつけるためにもちゃんと墓くらいはたててやりたいし。
墓のことは向こうの親ともちゃんと話し合わなきゃいけないし」