真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
光太はもういない。
光太はもういないんだ。
さっき、亜星と光太が重なって見えてしまったのは
今日のシチュエーションがあまりにもあの日と似ていたから…?
あの日
光太を止めなかった後悔が鎖のように私の心を絡め縛り付けているから…?
「柑奈…泣いてるの?」
「えっ…?」
亜星の言葉で、今、自分が涙を落としていることに気がついた。
涙…?
「どうして…?」
「それはこっちの台詞だよ。柑奈、どうしちゃったの…?」
あたふた、戸惑う亜星の声が遠くに聞こえる気がする。
人前で
しかも男の前で涙を流したことなんかなかった…。
あの日でさえ私は…
泣かなかったというのに…。