真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
「行かないで…?」
「えっ?」
「お願い!行かないで…」
生まれて初めて
自分の思いを…
格好悪さを口にした。
途端、感情が涙に変わって溢れ出すように、戸惑う亜星にしがみつき、私は大声で泣いていた。
「お願い‼お願いだから‼行かないで‼」
あの日言えなかった言葉を
今吐き出すように
思いきり泣いてしがみ付いて、呪文のように繰り返し行かないでと叫んでいた。
情けないとか
ダサいとか
もうそんなのどうでもよくて
あの日、光太に言えなかった言葉を
ようやく
言えた気がした。